産業廃棄物収集運搬車への表示義務について

この記事では、産業廃棄物を運搬する車両に義務付けられている表示について解説しています。

 

許可を受けて産業廃棄物収集運搬業を営む場合には様々な義務を果たさなければなりません。

産業廃棄物を運搬する車両に対する表示義務もその一つですが、実は、この義務は、許可を受けていない場合でも該当する場合があります。

それは、排出業者自身が産業廃棄物を運搬する場合です。

 

許可が不要な場合の産業廃棄物収集運搬車の表示方法

排出事業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合は、許可は不要ですが、その運搬車には次の事項を表示しなければなりません。

  • 産業廃棄物を袖手運搬している旨の表示
  • 排出事業者名

実際の表示例は次のようなものです。

産廃運搬車表示(許可なし)

文字のサイズとしては、「産業廃棄物収集運搬車」は5センチメートル以上、会社名は、3センチメートル以上でなければなりません。

表示方法としては、注意点として次のことが挙げられます。

  • 見やすい、読みやすい文字で表示すること
  • 鮮明であること
  • 両側面に表示すること
  • 識別しやすい色の文字であること

 

それでは許可を受けて、産業廃棄物を運搬する車両の場合はどうでしょうか。

 

許可を受けている産業廃棄物収集運搬車の表示方法

許可を受けて産業廃棄物を運搬する車両の場合は、その運搬車には次の事項を表示しなければなりません。

  • 産業廃棄物を収集運搬している旨の表示
  • 業者名
  • 許可番号(下6桁以上)

許可を受けていない場合と異なるのは、許可番号を記載するということだけです。

 

実際の表示例は次のようなものです。

産廃運搬車表示(許可業者)

 

文字の大きさは、「産業廃棄物収集運搬車」は5センチメートル以上、会社名と許可番号は3センチメートル以上でなければなりません。

また、表示方法としては、許可を受けていない場合と同様ですが、注意点として次のことが挙げられます。

  • 見やすい、読みやすい文字で表示すること
  • 鮮明であること
  • 両側面に表示すること
  • 識別しやすい色の文字であること

 

 

実際の表示例での表示方法の正誤

次のような表示方法では、基準を満たさないと考えられますので注意してください。

  • 手書きによるもの

NG例1

表示する文字は、原則として印刷されたものである必要があります。

 

  • 表現が曖昧なもの

NG例2

一見して、産業廃棄物を運搬していることが分からないような表示や、正式な名称がわからないような表示を使用することはできません。

明確に「産業廃棄物収集運搬車」と記載する必要があります。

 

  • 表示の一部が隠れている

下図のようにカバー等で一部の表示が隠れてしまった状態では、表示義務違反になってしまいます。

NG例3

次のような表示方法であれば基準を満たしており問題ありません

  • 左右で位置が違っても、牽引車側でも非牽引車側でもOKです。

OK例

 

  • マグネットシート等、着脱可能な表示でもOKです。
  • 特別産業廃棄物を運搬する場合でも「産業廃棄物」と表示してもOKです。

 

産業廃棄物収集運搬車の表示義務に関するその他の留意事項

表示義務の例外について

すべての産業廃棄物を運搬する車両に表示義務があるかといえばそうではなく、例外もあります。

次のような廃棄物を運搬する場合は、表示義務は生じません。

  1. エアコン
  2. テレビ
  3. 冷蔵庫(冷凍庫)
  4. 洗濯機
  5. 廃自動車

 

1.~4.は特定家庭用機器再商品化法、いわゆる家電リサイクル法により規制を受け、5.は、使用済み自動車の再資源化等に関する法律、いわゆる自動車リサイクル法により規制を行けており、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法の規制である上記の表示義務を負うことはありません。

 

また、自社の敷地内のみで使用される運搬車であれば、車両に表示の義務はありません。

表示を行わなかった場合の罰則等

産業廃棄物を運搬する車両に表示を行わなかった場合、法律違反となり、次のような行政命令の対象になります。

  • 排出事業者の場合:改善命令
  • 産業廃棄物処理業者の場合:営業停止処分

上記の行政命令にも違反し、営業停止処分を受けたにもかかわらず営業をつつけた場合には、刑事罰を受けることになります。

 

「このくらいのこと・・・」と考えないで、運搬前の点検等で表示の状態を日々確認する方がいいでしょう。

マグネット等で着脱可能なものでもいいですが、いったん取り外して付け忘れるということはいつでも起こりえるので、表示は車両に固定するタイプのものの方がいいでしょう。