【産廃業】産業廃棄物の分類について

この記事では、産業廃棄物の定義と分類についての詳細を紹介します。

廃棄物とは不要となった固形物、または液状のものをいい、廃棄物処理法により、廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物の二つに分類されています。
そして一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物というふうに定義されています。

それでは、産業廃棄物とはどのように定義されているのでしょうか

法律上、産業廃棄物とは、事業活動により排出される廃棄物とされており、すなわち同じ廃棄物であっても事業活動により排出されたものでなければ、産業廃棄物ではなく一般廃棄物に分類される場合もあるということです。

また、産業廃棄物のうち毒性等の性状を有するものを特別管理産業廃棄物し、より厳しく管理しなければならないものもあります。

事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において、適正に処理しなければならないとされています。
つまり事業者自らが産業廃棄物であるか、どうかもしくは産業廃棄物の種類を判断し、廃棄物の処理をしなければいけません。
そして、その判断となるための基準は、地方自治体によって決められる場合があり、その判断が自治体によって異なる場合がありえます。
注意しなければなりません。

それではその詳細を見ていきましょう。

産業廃棄物

産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物と輸入された廃棄物に分類されます。
また、同じ廃棄物でも、特定の事業活動に伴って生じた場合のみ産業廃棄物として扱われるものもあります。
詳細は次のようになります。

事業活動に伴い生じた廃棄物

まず、特定の事業活動に伴う廃棄物から見ていきましょう。

特定の事業活動に伴い生じたもの

次の7種類が規定されています。

紙くず

次の事業に限られます。

  • 建設業に係るもので、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた紙くず
  • パルプ、紙、紙加工品の製造業により生じた紙くず
  • 新聞巻き取り紙を使用して印刷発行を行う新聞業により生じた紙くず
  • 印刷出版を行う出版業により生じた紙くず
  • 製本業により生じた紙くず
  • 印刷物加工業により生じた紙くず

上記の特定の事業に係らない場合でも、ポリ塩化ビフェニルが塗布されているか、または染み込んだものは産業廃棄物として処理されなければなりません。
ポリ塩化ビフェニルの使用されている紙の例としては、現在は規制されていますが、以前、感圧複写紙として大量に生産されていたものがあり、古い事業所にはいまだ大量に残っていると思われます。

木くず
  • 建設業に係るもので、工作物の新築、改築、除去に伴い生じた木くず
  • 木材、木製品、家具の製造業により生じた木くず
  • パルプ製造業により生じた木くず
  • 輸入木材の卸売業により生じた木くず
  • 物品賃貸業により生じた木くず

また、貨物の流通のために使用されたパレットや、紙くずと同様にポリ塩化ビフェニルが浸み込んだ木くずは、業種にかかわらず産業廃棄物として取り扱わなければなりません。

繊維くず
  • 建設業に係るもので、工作物の新築、改築、除去に伴い生じた繊維くず
  • 衣服等の繊維製品製造業を除いた繊維工業で生じた繊維くず

また、紙くず、木くずと同様にポリ塩化ビフェニルが浸み込んだものは業種にかかわらず産業廃棄物として取り扱わなければなりません。

動植物に係る固形状の不要物
  • 食料品製造業において、原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
  • 医薬品製造業において、原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
  • 香料製造業において、原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
動物に係る固形状の不要物
  • と畜場法により規定されたと畜場においてとさつ、解体した獣畜
  • 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律により規定された食鳥処理場において食鳥処理された食鳥に係る固形状の不要物
動物の糞尿
  • 畜産農業により生じた動物の糞尿
動物の死体
  • 畜産農業により生じた動物の死体

あらゆる事業活動に伴い生じたもの

ゴムくず
  • 天然ゴム、生ゴム等
金属くず
  • 鉄鋼
  • 非鉄金属の研磨くず
  • 切削くず
  • 研磨クズ
ガラスくず
  • ガラスくず
  • 工作物の新築、改築、除去に伴い生じたものを除いたコンクリートくず、石膏くず、レンガくず
  • 陶磁器くず
鉱さい
  • 不良鉱石
  • 不良石炭
  • 高炉、電気炉等の残さい
  • 粉炭かす等の製鉄所の炉の残さい
がれき類

工作物の新築、改築、除去に伴い生じたコンクリートの破片等

ばいじん
  • 大気汚染防止法に規定されているばい煙発生施設において発生するばいじん
  • ダイオキシン類対策特別措置法に規定されている特定施設において発生するばいじん
  • その他一部の産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじん
燃え殻
  • 石炭がら、コークス灰、重油燃焼灰、産業廃棄物焼却灰、炉清掃排出物等の焼却残廃
  • 廃カーボン類、廃活性炭等
汚泥

工場排水処理や製造工程で排出される泥状の次のようなもの

  • 製紙スラッジ、下水道汚泥等の有機性汚泥
  • メッキ汚泥、採石スラッジ等の無機性汚泥
廃油
  • タービン油、マシン油等の潤滑油系廃油
  • 揮発油、灯油等の鉱物油系廃油
  • 魚油、菜種油等の動植物系廃油
  • シンナー、ベンゼン等の廃溶剤類
廃酸

全ての酸性廃液で、例えば次のようなものです。

  • 硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸等の無機廃酸
  • ギ酸、酢酸、シュウ酸等の有機廃酸
廃アルカリ

全てのアルカリ性廃液で例えば次のようなものです。

  • 写真現像廃液
  • アルカリ性メッキ廃液
  • 廃ソーダ廃液
  • 金属石鹸液
廃プラスチック類
  • 合成樹脂くず
  • 合成繊維くず
  • 廃タイヤ等の合成ゴムくず
  • 廃ポリウレタン
  • 廃シート類
  • 合成樹脂系梱包材量

輸入された廃棄物

輸入された廃棄物とは、廃棄物の処分や再生のために輸入された廃棄物であって、次のものは除かれます

  • 航行廃棄物
    船舶や航空機の航行に伴う生じる廃棄物のことで、飲食に伴うものや排泄物等です。
  • 携帯廃棄物
    日本に入国するものが携帯する廃棄物のことで、入国するものが日常生活において生じるゴミやそのほかの廃棄物のことです。

産業廃棄物に該当する廃棄物を国内に持ち込むには、環境大臣の許可を受けなければなりません。

特別管理産業廃棄物

特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物の中で人の健康や生活環境に係る被害を生じる恐れのある次のような性状を有する者のことです。

  • 爆発性
  • 毒性
  • 感染性

その一部ですが、次のようなものです。

  • 燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除いた廃油
  • 著しい腐食性を有する者として環境省令で定める基準に適合した廃酸
  • 著しい腐食性を有する者として環境省令で定める基準に適合した廃アリカリ
  • 感染性産業廃棄物
  • 特定有害産業廃棄物
    廃塩化ビフェニル等を含む廃油、ポリ塩化ビフェニル汚染物、ポリ塩化ビフェニル処理物、排水銀等、廃石綿等

特別管理産業廃棄物については、非常に細かく規定されていますので、また別の記事で紹介しますので、そちらの記事をご確認ください。