【産廃業】産業廃棄物のマニフェスト制度について

この記事では、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェスト制度について紹介します。

事業者が排出した廃棄物はどのように処理されるのでしょうか。
事業者自らが処理しない場合は、産業廃棄物収集運搬業者に依頼し、回収してもらい、産業廃棄物処理業者による中間処理、そして最終処分が行われることになります。

その際、正しく収集や処理が行なわれているかどうか、不正や不法行為が行われていないかどうかについて、それらを管理するために産業廃棄物のマニフェスト制度が義務づけられています。

そもそも産業廃棄物は排出事業者が自らの責任で適切に処理しなければならないと法律上規定されています。

しかし、自身でその廃棄物を搬送・処理することができないという場合には、その処理を他人に委託しなければなりません。
その場合には産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者名、取扱い上の注意事項などを記載した産業廃棄物管理票、つまりマニフェストを交付して産業廃棄物と一緒に流通させなければなりません

そのことにより、産業廃棄物に関する正確な情報を伝えるとともに、委託した産業廃棄物が適切に処理されていることを把握することができます。

マニフェストには2種類あります。
紙に書かれたマニフェストいわゆる紙マニフェストと電子化された電子マニフェストです。

紙マニフェスト

紙マニフェストは一般的に7枚複写の票からなっています。

廃棄物の処理の工程ごとに終了した旨の報告をマニフェストの写を送付されることで排出事業者が確認できます。

運搬業者は運搬が終了した後に、また職業社は処分を終了した後に、10日以内に排出業者に対してマニフェストの写しを送付しなければなりません

また、排出事業者は送付されたマニフェストの写を5年間保存しなければなりません。

次に電子マニフェストについてです。

電子マニフェスト

電子マニフェストとは、情報処理センターが運営するネットワークを利用して排出事業者、収集運搬業者、処分業者が産業廃棄物の運搬や処理に関する情報を報告、管理するシステムです。

このシステムを利用するためには、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の三者がネットワークに加入していなければなりません。

しかしながら、電子マニフェストにより事務処理の効率化、透明性の確保法令の遵守の徹底を図ることができます。

実際の運用については別の記事で紹介してますので、そちらをご確認ください。

産業廃棄物を排出した業者には、マニフェスト管理として交付後、次の3点の義務があります。

  • 産業廃棄物を排出した事業者は、マニフェストの交付後90日以内に委託した産業廃棄物の中間処理が終了したことをマニフェストにより確認しなければいけません。
  • また、中間処理を経由して最終処分される場合には、マニフェスト交付後180日以内に最終処分が終了したことを確認しなければなりません。
  • 産業廃棄物を排出した事業者は、上記の期限を過ぎても処理終了の報告がない場合には、適切な措置を講ずるとともに、都道府県等に報告しなければなりません。

90日、180日と期間が長いので処理業者からの連絡が入らないとうっかり忘れてしまいそうですね。

しかしながら、いかなる場合でもマニフェストを使用しなければならない訳ではなく、次のような場合にはマニフェストの使用義務は除外されています。

  • 産業廃棄物の排出事業者が自ら処理する場合
  • 産業廃棄物の処理を事務として行っている都道府県に又は処分を委託する場合
  • 廃油運搬、又は処分の場合であって、廃油処理事業を行う港湾管理者又は漁港管理者に委託をする場合
  • 古紙や紙くずなど専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬又は処分を業として行う者に、当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合
  • 再生利用認定制度により認定を受けた者に認定品目にある産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合
  • 広域的処理認定制度により認定を受けた者に、その認定品目にある産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合
  • 再生利用に関わる都道府県知事の指定を受けた者に、その認定品目にある産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合
  • 国に産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合
  • 運搬用パイプラインやこれに直結する処理施設を用いて、産業廃棄物の運搬又は処分を行う者に当該産業廃棄物の運搬及び処分を委託する場合
  • 産業廃棄物を輸出するために運搬を行うものに我が国から相手国までの運搬を委託する場合
  • 海洋汚染防止法の規定により許可を受けて廃油処理事業を行うものに、外国船舶から発生した廃油の運搬又は処分を委託する場合

最後にマニフェストに関する違反があった場合の罰則についてですが、まずは都道府県から措置命令を受けることになるでしょう
また、違反の内容によっては刑事罰を受けることもあります。
その場合は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方という非常に重たいものです。

処理業者に依頼しっぱなしではなく、最後まで責任感を持まなければなりませんね。