この記事では、倉庫業を営むために必要な登録をうけるための要件について、その詳細を紹介します。
倉庫業を営むためには、国土交通大臣の行う登録を受けなければならず、次の事項をクリアしなければ登録を受けることはできません。
- 倉庫業を営むための倉庫として(倉庫業法以外の)法律による基準(設置場所)を満たしているか
- 国土交通大臣の登録拒否要件に抵触していないか
それでは、内容を順番に見ていきましょう。
倉庫の設置場所について
実際の営業に使用する倉庫の建築、購入、賃借をする前に次の点に留意しておかなければなりません。
それは登録しようと考えている物件が倉庫業を営む倉庫として使用できる施設であるかどうか、です。
これは建築基準法や都市計画法の基準を満たしているかどうかという観点で、満たしていなければ、その物件では倉庫業を営むことはできません。
たとえば、次のような地域では倉庫業を営む倉庫というものは原則として認められません。
- 準住宅地域をのぞく住宅地域
- 開発行為許可を有しない、市街化調整区域
上記の地域、区域は各自治体がホームページ等で公開していますが、わかりにくい場合もありますので、専門家に確認する方がいいでしょう。
直接、自治体の建築部局等と相談したほうが速いかもしれません。
上記をクリアしているという前提で、倉庫業法上の国土交通大臣の登録拒否要件に抵触していないか、見ていきましょう。。
国土交通大臣の登録拒否要件
国土交通大臣の登録拒否要件は次の3点です。
- 申請者等が欠格事由に該当する
- 施設設備基準に適合しない
- 倉庫管理主任者を確実に専任すると認められない
順番に中身をみていきましょう。
申請者等が欠格事由に該当する
1の欠格事由ですが、倉庫業法上では、次の三点が挙げられています
- 申請者が1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から、2年を経過しないものであるとき
- 申請者が倉庫業の登録の取り消しを受け、その取り消しの日から2年を経過しないものであるとき
- 申請者が、法人である場合において、その役員が上記のいずれかに該当するのであるとき
法律違反をしていない、していたとしても、もう十分時間が経っているということであれば欠格事由には該当しないということです。
自分のことは、該当するかどうかは一瞬で判断できると思いますが、他の役員等が複数人いる場合は確認が難しい場合もあるかもしれません。
施設設備基準に適合しない
施設設備基準は、倉庫の種類ごとに定められています。
ここでは、もっとも一般的な倉庫である一類倉庫の場合の施設設備基準を見ていきます。
まず一類倉庫とは次のような倉庫です。
- 危険物、高圧ガスおよび10℃以下保管の物品を除いたすべての物品の保管が可能な倉庫
そして、一塁倉庫が満たさなければいけない、施設設備基準は次の13項目です。
それぞれ基準を満たしている例と、それを証明するための必要な書類の書類の例を紹介します。
- 使用権原
当該倉庫の土地建物の所有権を有している、または、賃貸借契約により借り入れている等
必要書類 : 登記簿謄本又は賃貸借契約書等 - 関係法令適合性
建築基準法等に適合している等
必要書類 : 確認済証、検査済証 - 土地定着性等
屋根壁を有し、土地に定着していること等
必要書類 : 立体図等 - 外壁、床の強度
鉄筋コンクリート造りで窓はなく、床には1兵法メートル当たり3900ニュートン以上の耐力がある等
必要書類 : 確認済証、立体図、矩計図 - 防水性能
鉄筋コンクリート防水塗装の屋根、外壁であり、雨樋を有し、庫内に樋や水を使用する設備はない等
必要書類 : 矩計図 - 防湿性能
床面はコンクリート造りで金ごて押しさえ仕上げとなっている等
必要書類 : 矩計図 - 遮熱性能
屋根および外壁は耐火構造である等
必要書類 : 確認済証 - 耐火性能
耐火建築物である等
必要書類 : 確認済証 - 災害防止措置
倉庫外壁から10メートル以内に建築物がないので、災害防止措置の必要がない等
必要書類 : 倉庫の配置図 - 防火区画
庫内に事務所があるが、耐火構造の床、壁で区画しており、開口部は防火戸となっている等
必要書類 : 平面図、矩計図 - 消火設備
各階の床面積200メートルに対して1単位以上の消火器を設置している等
必要書類 : 消火器の仕様、位置の詳細を表示した平面図 - 防犯措置
施錠扉、網入りガラス、機械警備、出入口周辺部照明2ルクス以上あり、部外者管理施設と隣接していない等
必要書類 : 建具表、照明装置、詳細表示の平面図、警備契約書 - 防鼠措置
地窓、下水管、下水管に通じる部分はすべて金網を設置しており、出入り口の扉は完全密閉できる等
必要書類 : 平面図、矩計図、建具表
以上が、一類倉庫の施設設備基準の概要です。
他の種類の倉庫については別の記事で紹介してますので、そちらも参照ください。
倉庫管理主任者を確実に専任すると認められない
倉庫業を営む為には、倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任して倉庫の管理に関する業務を行わなければなりません。
倉庫管理主任者の倉庫管理に関する業務とは、次のようなものです。
- 倉庫における火災の防止、その他倉庫の施設の管理に関すること
- 倉庫管理業務の適正な運営の確保に関することを開業
- 労働災害の防止に関すること
- 現場従業員の研修に関すること
倉庫管理主任者は誰でもできるというわけではなく、倉庫の適切な管理に必要な知識及び能力を有していなければならず、それを担保するため、国土交通省令で倉庫管理主任者のための次のような要件が定められています。
- 倉庫の管理の業務に関して二年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 倉庫の管理の業務監視3年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了したもの
- 国土交通大臣が、上記三点にあげるものと同等以上の知識及び能力を有すると認める者
以上を満たすことが倉庫業の登録を受けるために必要です。
手続きには時間がかかりますので、計画的に進めましょう。