この記事では、相続により農地を取得した時に必要な手続きについて、その詳細を紹介します。
農地の所有権の移動のなかで、農地を相続した場合には、農地法第3条の許可対象外ということは、他の記事でも紹介しています。
しかしながら、農地を相続した人は、農業委員会に届出が義務づけられています。
この届出は原則として相続を知った日から10ヶ月以内にしなければいけないことになっています。
これは平成21年の法改正により義務づけられたものですが、それ以前は相続による権利移動に伴う所有者等の情報を把握することができず、管理できない農地が放置される原因の一つになっていました。
また、届出をしていないことが判明した場合は、10万円以下の過料を科せられることもありますので、注意してください。
届出先は相続した土地のある市町村の農業委員会です。
相続した方の所在地と農地の場所が遠く離れている場合は、手続きを行うのも大変かもしれません。
そういう場合には、行政書士等の専門家に手続きを依頼することもできますので、ご相談されるのもよいかもしれません。
各市町によって様式が異なる場合はありますが、届出書には次のような内容を記載します。
- 権利を取得したものの氏名、住所
- 届出に係る土地の所在等
登記されている内容を記載してください。その時登記簿上の所有名義人と、現在の所有者が異なる時には登記簿上の所有者も、備考欄に記載してください。 - 権利を取得した日
- 権利を取得した事由
この場合は「相続」と記載します - 取得した権利の種類及び内容
権利の種類と使用収益権の設定の有無を記載します。
権利の種類:所有権
耕作の状況:耕作、使用収益権の設定なし - 農業委員会による斡旋等の希望の有無
相続した農地について、第三者への所有権の移転又は賃借権の設定等を農業委員会の斡旋を希望するかどうかを「あり」か「なし」で記載してください。
すぐに買い手や借り手が見つからないことも十分ありえますが、土地活用の意思表示をしておくだけで、後々その機会が訪れるかもしれませんので、ご希望の方は利用してみてはいかがでしょうか。
念の為、記載例をあげておきますので、ご確認ください。
広島市の場合ですが、受付の締め切りが毎週金曜日に設定されており、受理証の交付は翌週の水曜日の午後からとなっています。
原則として窓口での交付となっていますので、印鑑をお持ちの上、受理書を受け取りに窓口まで行かなければなりません。
都道府県により扱いが異なることもありますので、ご確認の上、手続きをお願いします。
もう一つの必要な手続きとして登記が挙げられます。
農地の所有権移転登記をしておくことで、将来的にご自身が被相続人になった時、お子さんやお孫さんに土地を引き継ぐ場合に起こりえるトラブルのリスクを低減させることが期待できます。
また災害が発生した場合など、所有権を容易に特定できるため、復旧作業の着手を早期に行うことができるなどりてんがあります。
登記は相続の手続きの中で行うことになると思いますが、忘れずに手続きを済ませておきましょう。
登記手続きは法務局に申請することになりますが、手続きに不安があるようでしたら、司法書士に依頼することも念頭に置いてみてはいかがでしょうか。