【農地関連】農地転用許可基準(4条許可基準)の詳細

この記事では、農地を農地以外のものにする農地転用に係る許可基準、いわゆる4条許可基準について、その詳細を紹介します。

ここで紹介する基準は、広島県に規定されている4ヘクタールを超える農地転用に係る許可基準です。
4ヘクタール以下の場合は、許可権限が各市町に移譲されており、許可基準は各市町で定められており、それぞれで確認する必要があります。

概要

農地の転用に関する許可基準は次の2点に分けて考えられています。

  1. 立地基準 :農地をその営農条件、周辺の市街化の状況から区分し、その区分に応じて許可の可否を判断する基準
  2. 一般基準 :農地の転用の確実性、周辺農地への被害を防ぐ措置の妥当性などを審査する基準

上記の立地基準と一般基準の両方を満たす場合に許可を受けることができます。
それでは順番に、詳細を見ていきましょう。

立地基準

農地は次の6種類に区分されており、それぞれ基準が定められています。

  • 農用地区域内の農地
  • 第1種農地
  • 第3種農地
  • 第2種農地(市街化2種)
  • 第2種農地(その他2種)
  • 甲種農地

以下、詳細を紹介します。

農用地区域内の農地

農用地区域とは、農業の振興を図るため各市町村により定められた農用地としてるようすべき区域のことです。
この農用地区域内の農地における転用の許可方針は次のとおりです。

原則として許可しない
ただし、「原則として」なので、次のような例外はあります。
  • 土地収用法の規定による告示に係る事業により転用する場合
  • 農業振興地域の整備に関する法律に規定された農用地利用計画における転用の場合
  • 仮設工作物などの一時的な転用の場合

上記見てもらえればわかるとおり、例外はあるとはいえ、農用地区域なの農地転用は認められないと考えたほうがいいでしょう。

第1種農地

第1種農地とは、農用地区域内の農地に該当しない農地で、良好な営農条件を備えていると判断される農地です。
おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地が該当するとされています。

第1種農地の許可方針は次のとおりです。

原則として許可しない

ただし、次のような例外はあります。

  • 土地収用法の規定による告示に係る事業により転用する場合
  • 仮設工作物などの一時的な転用の場合
  • 農業用施設等への転用の場合
  • その地域の農業の振興に役立つ施設への転用の場合
  • 市街地に設置することが困難または不適切な医療施設、火薬庫等への転用
  • 特別な立地条件を必要とする調査研究施設、資源採取施設等への転用
  • 隣接する土地と一体として同一の事業のための転用
  • 公益性の高い施設への転用
  • 他の法律に基づく転用
  • 各市町の農業振興地域整備計画に基づく転用

第1種農地も農用地区域内と同様に、個人的理由で転用することはほぼ認められないと考えておきましょう。

第3種農地

第3種農地とは、農用地区域内の農地に該当しない農地で、市街地の区域または市街化の傾向が著しい区域内にある農地と判断されるものです。

第3種農地の許可方針は次のとおりです。

原則として許可する
第3種農地であれば、規定に従って申請すればほぼ許可は下りるということです。

第2種農地(市街化2種)

第2種農地(市街化2種)とは、農用地区域内の農地に該当しない農地で、第3種農地に近接する区域、その他市街化が見込まれる区域内にある農地と判断される農地です。

第2種農地(市街化2種)の許可方針は次のとおりです。

申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を利用することで目的を果たすことができる(代替性がある)と認められる場合以外は、許可する
申請を上げた農地でないとできません、という場合は認められるということです。

第2種農地(その他2種)

第2種農地(その他2種)とは、農用地区域内の農地に該当しない農地で、農業公共投資の対象となっていない小集団で生産性の低い農地のことです。

第2種農地(その他2種)の許可方針は次のとおりです。

申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を利用することで目的を果たすことができる(代替性がある)と認められる場合以外は、許可する
市街化2種と同じですね。

甲種農地

甲種農地とは、農用地区域内の農地に該当しない市街化調整区域内にある農地で、おおむね10ヘクタール以上の一団の農地の区域内にある農地のうち、高性能農業機械による営農に適すると認められる農地等のことです。

甲種農地の許可方針は次のとおりです。

原則として許可しない

ただし、次のような例外はあります。

  • 土地収用法の規定による告示に係る事業により転用する場合
  • 仮設工作物などの一時的な転用の場合
  • 農業用施設等への転用の場合
  • その地域の農業の振興に役立つ施設への転用の場合
  • 特別な立地条件を必要とする調査研究施設、資源採取施設等への転用
  • 既存施設の拡張のための転用
  • 隣接する土地と一体として同一の事業のための転用
  • 公益性の高い施設への転用
  • 他の法律に基づく転用
  • 各市町の農業振興地域整備計画に基づく転用

一般基準

上記の立地基準を満足していたとしても、一般基準といわれる次の4つのいずれかに該当するときは許可を受けることはできません。

農地転用の確実性

申請に係る農地のすべてを申請に係る用途に転用することが確実であると認められない場合は、許可を受けるこおてゃできません。
つぎの8つの事由が挙げられています。

  1. 農地の転用を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと。
  2. 農地の転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないこと。
  3. 許可を受けた後、遅滞なく申請に係る農地を申請に係る用途に供する見込みがないこと。
  4. 申請に係る事業の施行に関して行政庁の許可等が必要な場合は、許可がなされなかったこと。
  5. 申請に係る事業に関して法令により義務付けられている行政庁との協議を現に行っていること。
  6. 申請に係る農地と一体として申請に係る事業のもくてきに供する土地を利用できる見込みがないこと。
  7. 申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的から見て適正と認められないこと。
  8. 申請に係る事業が工場、住宅その他の施設の用に供される土地の造成のみを目的とするものであること。

被害防除措置の妥当性

次のような場合です。

  • 農地の転用により、土砂の流出等の災害を発生させる恐れがあると認められる場合
  • 農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼす恐れがあると認められる場合
  • その他周辺の農地の営農条件に支障を生ずる恐れがあると認められる場合

農業上の効率的かつ総合的な利用の確保

地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を証する恐れがあると認められる場合で、次の事項に該当する場合。

  • 農業経営基盤強化促進法の規定による申出があってから広告があるまでの間に、農地を転用することにより、農用地利用集積計画に基づく農地の利用の集積に支障を及ぼす恐れがあると認めっれる場合。
  • 農用地を定めるための広告があったとき、市町村農業振興地域整備計画案に係る農地を転用することにより、当該計画に基づく農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずる恐れがあると認められる場合。

一時的な転用

仮設工作物の設置等一時的な利用に供するため農地の転用をしようとする場合で、次の事項に該当する場合

  • 一時的に利用した後、その時が耕作の目的に戻されることが確実と認められないこと。
  • 一時的に利用するため、所有権を取得しようとする場合

標準処理時間

申請から許可が下りるまでの標準処理時間は次のとおりです。

標準処理時間 :6週間
(農業委員会 4週間 + 広島県知事 2週間(うち協議機関 1週間)
以上、4条許可基準の紹介でした。
基本的に第3種農地、第2種農地のみ許可は認められ、それ以外は認められることは少ないです。