この記事では、農地を農地以外のものにする場合に必要な許可、いわゆる4条許可について、その概要を紹介します。
まず、四条許可に該当するのはどのような場合なのか見ていきましょう。
どのような場合に四条許可に該当するか
農地を農地以外のものにすることを農地転用と言いますが、自分の所有する農地を自分で利用する目的で農地転用する場合が4条許可に該当します。
農地転用の具体例としては、農地を次のようなものする場合が挙げられます。
- 住宅
- 工場
- 商業施設
- 道路
- 資材置き場
- 駐車場
許可権限を有している機関はどこか
許可の権限を有しているのは次の通りです。
- 4ヘクタール以下の農地の場合
>>市町農業委員会 - 4ヘクタールを超える農地の場合
>>県知事
市街化区域内にある農地の転用の場合は、許可ではなく、農業委員会への「届出」になります。
農業員会許可でも知事許可でも、申請窓口はすべて市町農業委員会となっています。
申請手続きの流れ
農地転用面積が4ヘクタール以下の場合
申請先は市町農業委員会で、農業委員会での審査により決定され、許可がなされます。
ただし、面積が30アールを超える場合またはその他農業委員会が必要と認める場合は、農業委員会ネットワーク機構(広島県農業会議)の意見聴取が必要となり、その意見を参考に農業委員会が決定を下します。
下図のような流れです。
農地転用面積が4ヘクタールを超える場合
市町農業委員会に申請します。(4ヘクタール以下の場合と同じ)
農業委員会は、農業委員会ネットワーク機構へ意見聴取し、意見を聞いた上で農業委員会から県知事へ申請書が送付され、県知事が農林水産大臣との協議、回答を受けた後、農業委員会へ許可書を送付します。
その後、農業委員会より申請者へ許可書が交付されます。
下図のような流れになります。
市街化区域内の届出の場合
申請者は、農業委員会で届け出受理されれば成立です。
4条許可の基準とは
農地法による許可制度においては、優良農地を確保するということが目的の一つになっています。
したがって、農地の有用性や周辺の土地利用状況などにより、農地を区分しており、農業上の利用に支障が少ない農地の転用を許す、という運用を行なっています。
その様な考えから許可基準として次の二点を判断しています。
ただし、各市町ごとにその土地に適するように基準が定められており、その内容はそれぞれ確認する必要があります。
立地基準
農地をその営農条件及び周辺の市街化の状況から見て区分し、その区分に応じて許可の可否を判断する基準です。
次のような区分と判断があります。
- 農用地区域内用地 >> 原則不許可
- 甲種農地 >> 原則不許可
- 第1種農地 >> 原則不許可
- 第2種農地 >> 第3種農地に立地困難な場合等に許可
- 第3種農地 >> 原則許可
一般基準
農地の転用の確実性や周辺の家への被害の防除措置の妥当性などを審査する基準です。
次のような場合は不許可になります。
- 転用の確実性が認められない場合、例えば他の法令の許認可の見込みがないとか関係権利者の同意がない場合など
- 周辺農地への被害防除措置が適切でない場合
- 一時転用の場合で、農地への原状回復が確実と認められない場合
これらの4ヘクタールを超える場合の県知事許可の審査基準の詳細は、別の記事で紹介してみますので、そちらをご確認ください。
また、4ヘクタール以下の農地転用の許可基準の詳細は各市町において規定されているため、それぞれで確認した方がいいですが、その内容は基本的には同じものです。