この記事では、農地を他人に譲渡、売却するなどして所有権を移動する場合のいわゆる三条許可の許可申請手続きについて、その概要を紹介します。
3条許可の概要
これは、農地を耕作目的で農地として他人に譲る場合に必要な許可申請です。
売却して所有権が移動する場合、賃貸借契約、使用貸借契約を結んで他人が農地を使用する場合等が該当します。
この規制の目的の一つは、農地を効率的に利用する農業者へ農地を集積することにあります。
したがって、次のような不許可基準に相当するような基準が規定されています。
土地を細切りにして他人に譲ることは禁止されています。
各市町村で下限面積が決められており、それより小さい農地の権利移動は許可がおりません。
例えば、広島市では農地の面積が10アール以上でなければ所有権の移転等は許可を受けることができません。
(以前は、20アール以上の区域もありましたが、令和元年12月6日以降の申請分から変更になっています)
権利を新たに取得する方は当然農業に従事する訳ですから、その方は農業用機械や栽培技術を当然有しているはずです。
実際に追う業を行わない、行うことができないと認められた場合には許可を受けることはできません。
また、自宅からその農地までの距離があまり離れていると、実際に農業を行うことができるのかと疑念を打たれることになります。
これは通作距離の要件と言われ、原則として4キロメートル以内であることが必要とされている自治体もあります。
このように、実際には、耕作を目的としていないと判断されれば許可はおりません。
また、許可がおり、農地の権利が移動した後、あまりに早期に農地転用の申請があった場合には、許可が下りない場合があります。
早期とは、権利の取得後3年かつ3作以上耕作を行っていない場合をいいます。
上記のように耕作目的ではないと判断されれば許可はおりません。
許可基準についての詳細は別の記事で紹介していますので、そちらをご確認ください。
続いて、3条許可申請の申請手続きの流れは次のようになります。
3条許可申請手続きの流れ
農業委員会に申請についての相談に行く
ここでしっかりと具体的に相談をして、申請書の作成方法や必要な添付書類について確認しておきましょう。
申請書作成及び必要書類の入手
必要な書類は状況によって異なりますが、多い場合は十数種類及びます。
入手、作成に時間がかかる可能性があるので、計画的に早期に取り掛かった方がいいでしょう。
農業委員会へ申請書の提出
申請書は甲号と乙号に分かれています。
甲号は3部、乙号は1部、添付書類は1部を提出します。
毎月1回提出締め切り日が設定されています。
自治体によって異なりますが、だいたい10日前後です。
申請内容を審査
提出された書類を許可基準に適合するか審査され、必要に応じて申請者に確認の連絡が入ることもあります。
また、現地にて農地を実態の調査が行われます。
農業委員会総会にて許可、不許可の決定
月末に、農業委員会総会が開かれます。
その後でその月に申請された案件が審議され、許可、不許可決定されます。
許可書の交付
許可が降りた場合、自治体から連絡が入りますので、農業委員会事務局まで、許可書を受け取りに行きます。
以上が三条許可の許可申請手続きについての概要でした。
申請書の記載例等の詳細は、別の記事で紹介していますので、そちらをご確認ください。