【運送業】一般貨物自動車運送事業許可における管理体制の構築について

この記事では、一般貨物自動車運送事業許可における管理体制の構築について紹介します。

許可要件として挙げられるものとして、次の三つの要件について別の記事で紹介しました。

  • 人的要件
  • 物的要件
  • 金銭的要件

この記事では別の視点から上の三点が複合的に絡んだ、システム的な要件について紹介します。

運送業を営む上で必要なものとして、次の2つのシステムがあげられます。

  1. 運行管理体制の構築
  2. 点検及び整備管理体制の構築

それでは、順番に内容を見ていきましょう。

1.運行管理体制の構築

車両数および運転者の人数が、事業計画に応じた適切なものであり、それを常に確保し続けることができるものであることが必要です。

この場合の運転者は、次のことに違反するものでないことが必要です。

  • 日々雇い入れられるものでないこと
  • 2か月以内の期間を定めて使用されるものでないこと
  • 試みの試用期間中のものでないこと

運行管理者を確保する管理計画がなければなりません。

この運行管理者は選任を義務づけられる人数の常勤である必要があります。

営業所前の運行管理者の配置基準としては、保有車両29両までは1名、以降30両ごとに1名追加となっています。

運転手の勤務割および乗務割が次の基準を満たさなければいけません。

  • 拘束時間は次のような基準が設けられています。

1ヶ月293時間(ただし、労働協定があるときは1年のうち6ヶ月までは1年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲において320時間までの時間まで延長可能です)
1日原則13時間、最大16時間(ただし15時間越えは1週間について2回以内にしなければいけません)

  • 運転時間の基準は次の通りです。

2日後平均して1日あたり9時間まで
2週間平均で1週間あたり44時間まで

  • 連続運転時間

4時間以内(ただし、運転の中断は1回につき連続10分以上かつ合計30分以上の運転離脱が必要です)

  • 運行時間

一つの運航における時間は最大144時間までです。
これは、最初の勤務を開始してから最後の勤務を終了するまでの時間のことです。
ただし、フェリーに乗船した場合における休息時間は除きます。

  • 休息期間

連続8時間以上が必要です。
運転者の住所地での休息期間がそれ以外の場所での休息時間より長くなるよう努めなければいけません。
つまり、そのような運行計画でなければいけません。

  • 拘束時間、休息期間の特例
    • 休息期間の分割については、1日において1回が継続4時間以上合計10時間以上に分割可能です。(ただし、フェリー乗船中には適用されません)
    • 2人乗務の場合については、最大拘束時間を20時間まで延長可能となり、休息期間は4時間まで短縮可能となります。
    • 隔日勤務の場合は、2暦日における拘束時間は21時間を超えないこと。また夜間4時間以上の仮眠を与える場合は2週間について3回を限度に2暦日における拘束時間を24時間まで延長可能です。
    • フェリー乗船の場合は、乗船時間は原則として、休息期間として取り扱い、休息期間8時間から減ずることができます。ただし、減算後の休息期間は2人乗務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの時間の2分の1を下回ってはいけません。
  • 時間外労働の協定

時間外労働協定における一定期間は2週間および1ヶ月以上3ヶ月以内に制限されます。

  • 休日労働

1週間に1回以内かつ一カ月の拘束時間を指最大拘束時間の範囲内であれば認められます。

  • 労働時間の取り扱い

労働時間は拘束時間から休息時間を差し引いたものであり、事業場以外の休息時間は仮眠時間を除き3時間以内とします。

運行管理の担当役員と運行管理に関する指揮命令系統が明確でなければなりません。

運行管理者が選任されていない営業所については、事業者が運行管理を確実に行う体制を整えておかなければいけません。

車庫が営業所に併設できない場合については、車庫と営業所が常時密接な連絡を取れる体制を整備しなければなりません。

また、点呼等が確実に実施される体制を確立されていなければなりません。

事故防止についての教育及び指導体制を整えなければなりません。

また、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告を体制を整えておかなければなりません。

積載危険物等の輸送を行うものによっては、消防法等関連法令に定める取り扱い資格者が確保されていなければなりません。

これらの目的は事故の防止です。
人や物を揃えるだけでなく、体制を整えマニュアル化していくことが必要になってきます。

 

以上が運行管理体制の構築に関してでした。続いて整備管理体制の構築に関する事項を見ていきましょう。

2.点検及び整備管理体制の構築

常勤の整備管理者を確保する管理計画があること

自動車が5台以上の営業所ごとに、整備管理者の義務づけられています。

自社で整備管理者を確保できない場合には一定の要件を満たすグループ企業に整備管理者を委託することもできます。

その場合には事業用自動車の運行の可否の決定、点検及び整備管理に関する業務が確実に実施される体制を確立しなければいけません。

点検及び整備管理の担当役員、点検および整備管理に関する指揮連絡系統が明確であること

事業用自動車が5両未満である営業所など、整備管理者が選任されていない営業所についても事業者が整備管理を確実に行うよう指導しなければなりません。

整備管理の規定を作成し、計画的に業務も行うこと

整備管理者は次に挙げるような事項の基準に関する規定を定め、それらに基づき業務を行わなければなりません。

  • 日常点検の実施方法
  • 点検基準に基づく運航の可否
  • 定期点検の実施方法
  • 随時必要な点検を実施する規定
  • 点検に基づく必要な整備の実施
  • 整備の実施計画の作成
  • 整備に関する記録の管理
  • 車庫の管理
  • 運転者整備等の指導、監督

以上にような整備管理体制を確立することが、安全な運行と事業の安定に繋がると思います。