この記事では、建設業の営業所ごとに設置しなければならない専任技術者の資格要件について、その詳細を紹介します。
建設業の営業所の専任技術者となり得る技術資格要件は次のような三点が規定されています。
- 一定の国家資格を有する者
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して一定期間以上の実務経験を有する者
- その他の要件
それでは順番に詳細を見ていきましょう。
必要な国家資格を有する
建設業の種類に応じて数多くの国家資格が設定されています。
例えば、土木工事の場合は、以下のような資格です。
- 一級建設機械施工技士
- 二級建設機械施工技士
- 一級土木施工管理技士
- 二級土木施工管理技士
- 技術士試験 建設・総合技術監理(建設)
などです。
一般建設業か特定建設業かにより異なり、特定建設業のほうがより難しく、厳格なものとなっています。
上記の場合で言えば、一級が特定建設業で、二級が一般建設業に必要な資格です。
また、特定建設業の営業専任技術者となることのできる国家資格を持っていれば、一般建設業の営業専任技術者になることができます。
最も多くの建設業の種類に対応している国家資格は一級建設施工管理技士です。
一級建築施工管理技士は29種類の建設業のうち半数以上の17種類の建設業において営業所専任技術者となることができます。
上記の国家資格を有していない場合には一定期間以上の実務経験が必要になります。
必要な実務経験を有する
営業所専任技術者になるために、必要な国家資格がない場合には、一定期間以上の実務経験を有する必要があります。
一般建設業よりも特定建設業の方がより厳格に乗っていますが、まず一般建設業の要件について見ていきましょう
一般建設業の場合
一般建設業の営業所専任技術者となるためには、以下のような実務経験が必要とされています。
- 大学又は高等専門学校の指定学科を卒業した後、3年以上の実務経験を有する者
- 専門学校の指定学科を卒業した後、3年以上の実務経験を有するので、専門士または高度専門士を称するもの
- 高等学校、専門学校、または中等教育学校の指定学科を卒業した後、5年以上の実務経験を有する者
- 10年以上の実務経験を有するもの
- 複数業種について一定期間以上の実務経験を有するもの
- 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上または専門学校卒業程度検定規定による検定で指定学科合格後3年以上の実務経験を有するもの
ここで実務経験とは、建設工事の施工に関するすべての職務経験を含みます。
例えば設計技術者として設計に従事したり、現場監督として監督に従事したもの、また土木工事やその見習いに従事した経験も含まれます。
しかし、ただ単に建設工事の雑務の経験は実務経験には含まれません。
雑務は技術にあたらない、ということですね。
1)における指定学科についてですが、建設業の種類ごとに密接に関係する学科として指定されています。
例えば土木工事の場合の、指定学科は、土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学に関わる学科とされています。
指定学科の一覧表を下に載せておきますので、ご確認ください。
2)の専門士、高度専門士とは、専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規定で定められているものを指します。
5)の複数業種についても実務経験ですが、例えば大工工事の場合は以下のような場合が実務経験として認められます。
- 建築工事業及び大工工事業に係る建設工事に関して12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を有するもの。
- 大工工事業及び内装仕上げ工事に関わる建設工事関し12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を有する者。
つまり、指定学科を卒業していなければ、実務経験は10年以上必要ですが、複数業種についての実務経験があれば許可を得ようとしている建設業の実務経験が8年以上であれば営業所専任技術者となることができるということです。
次に特定建設業の営業所主任技術者となるための実務経験の要件ですが、上で説明した一般建設業の場合に加えて次のような実務経験が必要とされています。
許可を受けようとする建設事業に係る建設工事に関して発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4500万円以上であるものについて2年以上建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を有する者。
実際に規模の大きい工事の監督経験が必要です。
ただし、例外もあり、7種類の指定建設業として定められているものに関してはこの要件は不要です。
次の七つの業種が指定建設業として定められています
- 土木工事業
- 建築工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 鋼構造物工事業
- 舗装工事業
- 造園工事業
特定建設業の場合
続いて、特定建設業の場合です。
特定建設業における専任技術者の実務経験の要件は、一般建設業の専任技術者要件を有し、かつ、次の要件を満たさなければなりません。
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、発注者から直接請け負い、その気請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたり工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を有する者。
その他の要件
これは海外での実務経験がある場合で、その実務経験をどのように扱うかという内容です。
一般建設業、特定建設業の両方の場合で、海外での実務経験の内容につき国土交通大臣の個別審査を受け、認定を受けなければなりません。
国土交通大臣の個別審査は、国土交通省土地建設産業局国際課に申請することとなっています。
以上が、営業所に設置しなければならない専任技術者となりうる資格要件でした。