この記事では、一般建設業を営むための財産的基礎要件について、その概要を紹介します。
財産的基礎要件とは、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかなものでないこと、をいいます。
まわりくどい言い方で分かりにくいですが、法律上上記のように規定されています。
そもそも建設業が許可制であることの目的の一つは発注者の保護を図ることです。
その目的を鑑みるに、財産的基礎要件の趣旨は、建設業を営む上で必要な資金を確保していることで、経営を安定させるというものです。
それにより結果的に発注者の保護が図れると考えられます。
それでは、財産的基礎要件に適合するための基準を見ていきましょう。
次のいずれかに該当すれば、財産的基礎要件の基準に適合していると考えられます。
- 自己資本の額が500万円以上であるもの
- 500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められるもの
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者
それぞれ詳細を見てみましょう。
1. 自己資本の額が500万円以上であるもの
法人の場合、自己資本とは貸借対照表における純資産合計の額のことを言います。
個人事業の場合は、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から、事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額のことを言います。
文章に書くとややこしいですか、毎年作成している財務諸表の数字を足したり引いたりするだけです。
2. 500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められるもの
担保にできるような不動産等を有していること等により、金融機関等から500万円以上の資金について融資を受けられる能力があると認められる必要があります。
認められるか否かの判断は、取引金融機関の融資証明書や預金残高証明書等により行われます。
預金残高証明書は申請から1ヶ月以内の証明を要求される場合があります。
なるべく審査の時期に近く、現在の状況を反映しているものが求められるということです。
複数の金融機関の預金残高証明書をエビデンスとして提出する場合は証明日が同一日であれば有効とみなされます。
3. 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者
これは業種追加などする場合に該当するでしょう。
過去にの許可されて建設業をすでに営んでいる実績を示すことで基準を満たしていると考えられます。
なお、この財産的基礎要件は許可申請を行う際に判断されるものです。
つまり、許可を受けた後で、この基準に適合しないということになっても、直ちに許可を取り消されるということはありません。
特定建設業許可における財産的基礎については、別の記事で消化していますので、そちらをご確認ください。