【建設業】建設業許可を受けた後の留意事項について

この記事では、建設業許可を受けた後の留意事項について、その詳細を紹介します。

建設業許可を受けた後は、高額な建設業の営業が認められることになりますが、それによる責任が生じ、様々な義務が課せられることになります。
これらの義務に違反した場合、軽い場合で、業務改善命令、重くなると営業停止、最悪の場合許可の取り消しという処分を受ける場合があります。
それどころか、悪質な場合には逮捕、刑罰の対象になることもあります。

また軽い処分の場合でも、処分内容が行政庁のホームページなどで公表されるため、顧客からの信用を失い、営業活動もままならなくなり、場合によっては事業を廃止せざるを得ないようなことも考えられます。

建設業の経営者は、これらの義務の内容をしっかりと把握し、完全に履行できる体制となっているのか考えて経営していかなければいけません。

以下に代表的なものを9つあげます。

1)許可の有効期間

有効期待の5年間です。引き続き建設業の事業を継続する場合は、有効期間の満了する日の30日前までに更新の申請を行わなければなりません。

2)変更事項の届出義務

申請事項」に変更があった場合、変更のあった都度、変更事項を届け出なければなりません。
特に、決算については、毎事業年度終了後4か月以内に提出が必要ですので注意しなければなりません。
届出の必要な変更事項は次のとおりです。

  • 商号・名称
  • 営業所の名称、所在地、新設、廃止、業種追加、業種廃止
  • 資本金額
  • 役員等の就任、辞任等、代表者
  • 個人事業主、役員等、支配人の氏名
  • 使用人(個人の支配人、支店長、営業所長)の新任、辞任
  • 経営業務の管理責任者の変更追加、削除
  • 専任技術者の変更追加、削除
  • 国家資格者等・監理技術者一覧表の変更追加、削除
  • 決算
  • 廃業
  • 3)廃業届義務

許可を受けた建設業の全部又は1部でも廃業した場合は30日以内に廃業届を提出しなければなりません。

個人での許可を受けた業者が、法人成りした場合、法人として新規の許可を申請するだけではなく、個人の許可を廃止しなければなりません。

4)標識の掲示義務

許可を受けた建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに公衆の見えやすい場所に標識を掲示しなければなりません。

標識の記載事項は次の通りです。

  • 一般建設業又は特定建設業の別
  • 許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
  • 商号又は名称
  • 代表者の氏名
  • 主任技術者の氏名または監理技術者の氏名(建設工事の現場の場合)

標識の大きさは、店舗に掲げる場合は縦35センチ以上横40センチ以上、建設工事の現場に掲げる場合は縦25センチ以上を横35センチ以上です。

別の記事でもう少し詳しく解説していますのでそちらも併せてご確認ください。

5)帳簿の備え付け保存義務

各営業所ごとに請負契約の内容を記載した帳簿を備え付け、5年間保存しなければなりません。

ただし、発注者と締結した住宅を新築する建設工事に関わるものの場合は10年間保存しなければなりません。

6)営業に関する図書の保存義務

発注者から直接建設工事を経た場合、各営業所ごとに営業に関する図書を目的物の引渡しをした時から10年間保存しなければなりません。

なお、営業に関する図書とは、完成図、工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録、施工体系図を言います。

7)契約に関する義務

請負契約において、着工前に書面にて契約を取り交わすこと、必須載事項の遵守、請負人の利益を害する行為の禁止規定があります。

8)施工体制に関する義務

工事現場への主任技術者等の配置があります。
また一括下請けよりは禁止されています。

9)下請け代金の支払いに関する義務

下請けに対する支払いの遅延行為は許されません。
支払期限が規定されています。
また、手形による支払いの場合には、割引困難な手形は禁止されています。

 

以上の義務を果たすことで、継続的な事業が成り立つとも言えます。

費用がかかるとか効率が悪いなどという理由で義務を果たさないまま放置していると、後でしっぺ返しを食らうかもしれません。