この記事では、令和2年10月施行予定の改正建設業法に伴う建設業法施行規則の改正において緩和される建設業の下請け業者の工事現場における標識の掲示義務について解説しています。
工事現場における標識の掲示は、元請のみの掲示でよく、下請は必要ないということになっているようです。
施工体系図は必要なく、簡素化されています。
令和2年10月施行予定の建設業法の改正に伴う建設業法施行規則の改定内容は、令和2年6月12日までパブリックコメントの募集中です。
改定内容の概略は次のとおりです。
- 建設業許可における経営業務の管理責任者の許可基準および提出書類について(第3条及び第7条(法第7条)関係)
- 事業承継に係る許可の手続きについて(新設(法第17条の2)関係)
- 相続に係る許可の手続きについて(新設(法第17条の3)関係)
- 建設工事の請負契約締結に係る情報通信の技術を利用する方法について(第13条の2第2項関係)
- 工期等に影響を及ぼす事象について(新設関係)
- 施工体制台帳の記載事項及び再下請通知を行う事項について(第14条の2、第14条の4関係)
- 施工体制台帳の電子的な取扱について(第14条の2、第14条の4関係)
- 施工体系図の記載事項について(第14条の6関係)
- 特定専門工事を利用する場合の元下間の合意内容について(新設(法第26条の3)関係)
- 特定専門工事の注文者の承諾に係る情報通信の技術を利用する方法について(新設(法第26条の3第5項、令第31条第1項)関係)
- 監理技術者講習の行こう期間の起算点の見直しについて(第17条の14関係)
- 経営事項審査の審査項目の必要な知識及び技術又は技能の向上に取り組む技術者及び技術者を追加することについて(第18条の3関係)
- 経営事項審査の審査項目のうち「建設業の経理に関する状況」の見直し(第18条の3関係)
- 登録経理講習実施機関の創設について(新設完成)
- 建設業者団体の取り組みに関する規定について(第23条関係)
- 標識の記載事項の見直しについて(別記様式第29号関係)
- 帳簿の添付資料の電子化について(第26条関係)
上記のうち、1.建設業許可における経営業務の管理責任者の許可基準および提出書類について(第3条及び第7条(法第7条)関係)については、別の記事で解説していますので、そちら記事をご確認ください。
また、3.相続に係る許可の手続きについて(新設(法第17条の3)関係)に関しても次の記事で解説していますので、そちらも併せてご確認ください。
この記事で解説しようと思っているのは、下請け業者の工事現場における標識の掲示義務に関する内容です。
「16.標識の記載事項の見直しについて」とは異なる内容です。
昨年の建設業法改正時に公表されていた内容は、次のようなものでした。
- 現場に掲げる建設業許可証の掲示義務を元請のみとする。
- 下請けにどのような会社が入っているかを引き続き明らかにする必要があることから、許可証と施工体系図の記載事項の改正を検討
この内容は昨年の事典では、令和2年10月施行予定とされていましたが、今回のパブリックコメントの内容には含まれていません。
なぜか不明ですが、この話はなくなったのか、パブリックコメントに掛けるまでもないという判断なのかわかりませんが、どうなっているのでしょうか。
どこかで公表されているかもしれませんが、予定どおり施行されるのかどうかわからなくなってしまいましたが、されるものとして、その内容を今一度確認しておきましょう。
現状の規定では、元請業者も下請け業者も孫請け業者も全ての建設業者が、建築現場で定められた内容の標識を掲示しなければなりません。
掲示された標識のイメージとしては次のようなものです。
改正後は、工事現場における標識の掲示は、元請業者のみとなります。
下請けにとっては標識を作成する手間が省けて、作業が減少します。
ただし、元請業者は、元請とすべての下請けの関係を示した施工体系図を別途作成しなければなりません。
イメージとしては次のようになります。(右側の施工体系図は不要のようです(令和2年10月21日追記)
だいぶすっきりして、現状の数多くの標識がズラズラと並んでいる物が2枚だけになり、より分かりやすくなると思われます。
元請の負担は増えるかもしれませんが、多くの下請け業者の負担は減ることになります。
施行体系図に関しては、詳細な内容が決定されていた訳ではないので、今後もう少し待つ必要があります。