この記事では、建設業の29業種のうちの一つである解体工事業において必要となる登録申請について解説します。
建設工事においては、原則として、請負金額が500万円以下の軽微な工事の場合は許可を受けることなく工事を請け負うことができます。
しかし、解体工事については、請負金額が500万円以下の軽微な工事であっても、都道府県知事の登録を受けなければ工事を請け負うことができない場合があります。
どのような場合に登録が必要なのか、または必要ないのか、その登録の手続きとはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
解体工事業にはなぜ登録が必要か
解体工事においては、大量の廃棄物が排出されることは想像に難くないと思います。
日本全国で排出される産業廃棄物のおよそ2割が建設業に係るものであり、とくに解体工事現場から排出される産業廃棄物は膨大なものです。
それらの産業廃棄物を適切に処理するために、いわゆる「建築リサイクル法」が平成12年に制定され、その目的を達成するための手段の一つととして、建築物の解体工事を業を営むものに都道府県の登録を義務づけています。
どのような場合に解体工事業の登録を受けなければならないか
解体工事を請け負おうとするすべての建設業者に登録が必要なわけではありません。
解体工事業の許可を取得していれば、当然のことながら登録は必要ありません。
また、解体工事業だけではなく、土木工事業と建築工事業のいずれかの許可を取得している場合も登録は必要ありません。
しかしながら、解体工事業、土木工事業、建築工事業のいずれの許可も取得していない場合は、請負金額が500万円以下の軽微な工事であっても、解体工事を請け負うことはできません。
請け負うためには登録が必要になります。
解体工事業の登録に必要な技術管理者の資格基準とは
解体工事業の登録を受けるためには、技術管理者というものを選任しなければならないとされています。
技術管理者とは、工事現場における施工の技術上の管理を行う人のことで、誰でも技術管理者になれるわけではなく、満たさなければならない次のような基準があります。
実務経験の場合
- 一定の学科を履修した大学卒又は高専卒の場合、解体工事の実務経験2年以上
- 一定の学科を履修した高校卒の場合、解体工事の実務経験4年以上
- 上記以外の場合、解体工事の実務経験8年以上
一定の学科というのは、土木工学、建築学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科です。
また、一定の講習を受講することで、必要年数がそれぞれ1年短くすることができます
資格の場合
次の資格を有することが技術管理者としての基準となります。
資格・試験名 | 種別 |
---|---|
建設業法による技術検定 | 一級建築機械施工 |
二級建築機械施工(第一種、第二種) | |
一級土木施工管理 | |
二級土木施工管理(土木) | |
一級建築施工管理 | |
二級建築施工管理(建築、躯体) | |
技術士法による第2次試験 | 技術士(建築部門) |
建築士法 | 一級建築士 |
二級建築士 | |
職業能力開発促進法による技能検定 | 一級とび・とび工 |
二級とび+解体工事の実務経験1年以上 | |
二級とび工+解体工事の実務経験1年以上 | |
民間試験合格者 | 解体工事施工技士試験 |
解体工事業の登録に必要な書類とは
解体工事業の登録に必要な書類は次のとおりです。
許可に比べると書類の数は随分少なく、簡便なものです。
- 解体工事業登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の調書(法人の場合は役員全員のものが必要)
- 技術管理者略歴書
- 技術管理者の基準を満たしていることを証明する書類(実務経験証明書、技術管理者の卒業証明書、技術管理者の資格者証、講習の受講証明書等)
- 技術監理者の住民票(申請前3か月以内に発行されている者)
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 登録申請者等の住民票(法人の場合、役員全員のものが必要で、申請前3か月以内に発行されている者
- 営業所所在地略図
また、提出部数は広島県の場合は、次のとおりです。
- 正本一部
- 写し:県内の営業所を所管する県建設事務所の数だけの部数
- +1部
解体工事業の登録申請の窓口はどこか
広島県内に営業所がある場合の申請先は、主たる営業所(本店)がある区域の土木に関する事務を所管している県建設事務所です。
次のとおり5か所あります。
所管する区域 | 県建設事務所(支所) | 所在地 |
---|---|---|
広島市、大竹市、廿日市市、安芸高田市、江田島市、府中町、海田町、熊野町、坂町、安芸太田町、北広島町 | 広島県西部建設事務所 | 広島市南区比治山本町16-12 082-250-8161 |
呉市 | 広島県西部建設事務所 呉支所 | 呉市西中央1丁目3-25 0823-22-5400 |
竹原市、東広島市、大崎上島町 | 広島県西部建設事務所 東広島支所 | 東広島市西条昭和町13-10 082-422-6911 |
三原市、尾道市、福山市、府中市、世羅町、神石高原町 | 広島県東部建設事務所 | 福山市三吉町1丁目1-1 084-921-1311 |
三次市、庄原市 | 広島県北部建設事務所 | 三次市十日市東4丁目6-1 0824-63-5181 |
解体工事業の登録申請手続きはどのようなものか
解体工事業の登録申請手続きは、次のようなものです。
- 技術管理者の基準等、要件の確認
- 申請書の作成
- 広島県知事へ登録申請
- 申請手数料の支払い
- 審査、登録
- 申請者へ登録通知
手数料は、新規登録の場合は、33,000円、更新申請の場合は、26,000円です。
広島県の場合は、手数料は現金で支払うことになっています。
また、申請から登録の通知までの標準処理時間は30日となっています。結構時間がかかりますので計画的に進めましょう。