【建設業】令和2年10月施行法改正で建設業許可の相続が可能に

この記事では、建政業法改正により、令和2年10月から施行される事業の承継制度、特に個人事業主における、建設業許可の承継と相続について解説しています。

現時点(令和2年5月)では、建設業法施行規則の改正案に対するパブリックコメントが開始されているところであり、特に手続きにおける実務の詳細は不明ですが、個人事業における事業承継制度の大枠を解説しています。

今回の法改正は様々な改正されて項目がありますが、その中の一つに建設業許可手続きに大きく関わる経営業務管理責任者要件の緩和があります。

こちらも非常に重要な法改正です。別の記事で解説していますので、併せてご確認ください。

それでは、個人事業主において、建設業許可を取得して建設業を営んでいる場合において、建設業許可の承継に関して、現状において何ができないのか、法改正によって何ができるようになるのか、見ていきましょう。

 

現行制度での建設業許可の承継

個人で許可を受けて建設業を営んでいる個人事業主の跡取りの息子か娘に事業を引き継ごうと思ったとき、又は事業主が亡くなって、相続人が見地業を引き継ごうといたとき、建築業の許可を引き継ぐことはできません

例えば、事業主が亡くなって、事業を相続しようとする場合は、相続人が「廃業届」を提出し、建設業の許可を無効にした後、引き継ぐ人が新規に許可申請をしなければなりません。

申請から許可が降りるまでの間、知事許可の場合で1~2か月の間、許可のない空白期間ができてしまい、建設業を営むことはできません。

許可の必要のない軽微な工事を請け負うことはできますが、受注のタイミングによっては故意ではないにしろ建設業法違反になってしまうこともあり得ます。

元気なうちに引き継ごうと思っていても、建設業許可を個人で取得している限り、それを承継することはできず、新規許可を取得しなければならないのは同じことです。

承継しようとする場合は、個人事業ではなく、法人化して、引き継がせる息子や娘を取締役として登記し、経験を積ませておかなければなりません。

ただし、法人なりの場合も、原則として、個人の建設業を廃業し、法人として新規許可を取得するということになるので、許可のない空白期間が生まれてしまいます

建設業法改正で認可により承継可能に

それでは、今回の法改正でどのように変わるのでしょうか。

建設業許可の空白期間をなくすために、承継、相続制度が導入されます。

具体的には、許可を受けた事業主が亡くなった場合、認可制度が設けられ、死去から30日以内に許可申請をして認可を受けるまでの間、先代の許可の暫定的使用が認められ、営業が続けられるようになります。

しかし、父親が亡くなって30日以内に手続きをしなければならないというのはちょっと厳しい気がしますがいいかでしょう。

申請には、建設業許可に関わるものの他に、次の書類が必要になります。
  • 申請者と被相続人との続柄を証明する書類
  • 申請人以外に相続人がある場合には、申請者が建設業を継続して営むことに対する申請者以外の相続人の同意書
  • 相続したものが建設業者として適正なものであることを担保する書類等
また新たに承継、相続した許可の有効期限は、継承、相続した日の翌日から5年間になります。

建設業許可要件を満足なければなりません

当然のことですが、承継、相続する方は建設業者として要件を満たさなければなりません。

特に、経営業務の管理責任者は、亡くなった元事業者である父親が要件を満たしていたはずです。

また、専任技術者も兼ねていたとすれば、相続する方は、そのどちらの要件も満たさなければなりません。

継承制度は、建設業許可の空白が起こらないようにし、事業の継続性が損なわれることのないようにするためのものです。

そもそも許可要件を満たさない人には許可が下りませんので勘違いしないようにしましょう。

認可の具体的な手続きについて

実際の運用に関しては、まだ公表されてはいないと思うので実際のところ分からないのですが、手続きは簡単なものではないと思われます。

結局、別の個人が新規に建設業の許可を取得するに等しいと考えられるからです。

ただし、営業所や財産要件等に関しては、先代からそのまま引き継げるので、簡略化できるでしょう。

新たに個人事業主として建設業を営むという点では、承継、相続だからといって特に便宜が図られるということはないのではないでしょうか。

特に経営業務管理責任者の要件を満たす人を確保できれば問題ないですが、承継する方が経営業務管理責任者にならなければならい合場合は、早いうちに使用人として登記しておいて、経営者的な業務を身に着けておく必要があると思われます。

上記法改正が施行されるのは令和2年10月の予定です。

建設業許可を「相続」するのは30日以内の申請しなければならず、大変そうです。

できるだけ前もって引き継ぐための準備を進めておいた方がいいかもしれません。