この記事では、産業廃棄物収集運搬業に行う上で守らなければいけない、産業廃棄物の収集、運搬、運搬後の保管に関する業務上の義務について紹介します。
次の七つの義務が規定されています。
- 運搬施設(車両、船舶、容器等)に係る注意事項
- 収集、運搬を行う場合の措置
- 運搬車両等への表示義務及び収集運搬中の書面携帯義務
- 積替えを行う場合を措置
- 保管を行う場合の措置
- 保管場所における措置
- 保管上限
順番に内容を見ていきましょう。
運搬施設(車両、船舶、容器等)に係る注意事項
運搬車両等が生活環境を守る上で支障をきたしたり、産業廃棄物が飛散、流出、悪臭などが漏れたりすることのないよう必要な措置を取らなければいけません。
廃棄物の性質に合わせて適切な容器や車両の構造、適切な車両のメンテナンス等が必要になってきます。
収集、運搬を行う場合の措置
この基準は、上の1とほぼ同じ内容です。
収集、運搬を行うときに、産業廃棄物が飛散、流出、悪臭、騒音、振動などにより周辺の生活環境に支障をきたさないように必要な措置を講じなければいけません。
1は設備の問題で、2の基準は設備だけでなく、工程、手順においても注意しなくてはいけないということです。
加えて、特に石綿や水銀を含んだ産業廃棄物を収集運搬する場合は、粉砕することのないよう、また他の廃棄物と混合することがないよう区別して収集、運搬を行わなければなりません。
運搬車両等への表示義務及び収集運搬中の書面携帯義務
産業廃棄物運搬車両は定められた表示および収集運搬時には定められた書面を備え付けておかなければいけません。
車体への表示
具体的には、産業廃棄物を運搬する車両は、車体の側面に産業廃棄物の収集運搬者であることを次のように表示しなければなりません。
- 産業廃棄物収集運搬車
- 業者名
- 許可番号
1.については、文字の大きさが日本工業規格Z8305に規定する140ポイント以上の大きさ(約5cm以上)で、識別しやすい色の文字を使用しなければなりません。
2.3.については、文字の大きさが日本工業規格Z8305に規定する90ポイント以上の大きさ(約3cm以上)で、同じく識別しやすい色でなければなりません。
携帯しなければならない書類
また、携帯しなければならない書面は、運搬中の産業廃棄物に関する情報等を記載したもので排出事業者が運搬する場合と産業廃棄物収集運搬業者が運搬する場合で異なり、次のようなものです。
排出事業者が運搬する場合
- 排出事業者名および住所
- 運搬する産業廃棄物の種類及び数量
- 運搬する産業廃棄物を積載した日、積載した事業場の名称、所在地及び連絡先
- 運搬先の事業場の名称、所在地及び連絡先
産業廃棄物収集運搬業者が運搬する場合
- 産業廃棄物収集運搬業の許可証の写し
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)
車体への表示や書類の形態を怠った場合は、法令違反となり、行政命令の対象となります。
行政命令の内容は、排出事業者であれば改善命令、産業廃棄物収集運搬業者であれば営業停止処分等になり、この行政命令にも違反した場合は刑事罰を受けることになります。
積替えを行う場合を措置
運搬中の産業廃棄物の積替えを行う場所は、周囲に囲いが設けられ、産業廃棄物の積み替え場所であることを表示しなければなりません。
また、産業廃棄物が飛散、流出、悪臭の発散などがないように、また地下浸透しないような構造を持つ必要があります。
石綿や水銀を含む産業廃棄物の積み替えを行う場合は、収集運搬時と同様に、他の物と混合することのないよう仕切りを設けるなど、必要な措置を取らなければいけません。
加えて、ネズミ、蚊、ハエその他の害虫が発生しないように措置を取らなければなりません。
保管を行う場合の措置
基本的に保管は原則禁止されています。
ただし、次の基準に適合する積替えの場合は、保管が認められています。
- あらかじめ積み替えを行った後の運搬先が定められていること
- 搬入された、産業廃棄物が適切に保管できる量を超えないこと
- 搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
保管場所における措置
保管場所について、守るべき基準、義務は次のとおりです。
- 産業廃棄物の飛散流出等の防止措置
- 囲いの設置及び構造
- 積み上げ高さ制限
- 掲示板の設置
産業廃棄物保管基準等の詳細は別の記事で紹介いたしますので、そちらをご確認ください。
保管上限
産業廃棄物を保管できる量の制限は、次の通りです。
平均排出量は次のようにして計算します。
平均排出量 = 前月の総排出量 ÷ 前月の総日数
以上、産業廃棄物収集運搬業を行うにあたり守らなければならない義務の概要を紹介しました。
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