この記事では、2019年4月から導入されている建設キャリアップシステムについて、および建設キャリアアップシステムを使用した賃金アップの取り組みについて解説しています。
建設業はこれまで長年にわたって社会の重要な枠割を果たしてきました。そしてそれはこれからも同様に重要な役割を果たしていくことは間違いありません。
しかし、様々な要因により、建設現場から次の時代の担い手である若い人材が減少しています。
このままでは、社会全体にとって大きな損失です。
そうならないためにも、優秀な若い人材に建設現場に戻ってきてもらわなければなりません。
そのためには、適正な処遇、つまり報酬が必要です。
そして、そのために建設キャリアアップシステムを利用しようという話になっています。
建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステムとは、建設技能者の実務経験、保有資格、社会保険加入状況をデータベース化し、それを評価できる環境を整え、処遇改善を図る目的で制度化されたものです。
現場技能者はICカードであるキャリアアップカードを所有することになります。
そのキャリアアップカードには、次のような情報が登録されています。
- 住所
- 氏名
- 社会保険加入状況
- 建退共手帳の有無
- 保有資格
- 研修受講履歴
また、現場を仕切る元請業者は、現場名、工事内容等をシステムに登録し、技能者が現場に入るときに、カードリーダー等でキャリアアップカードを読み取ります。
それにより誰が、いつ、どの現場で、どのような作業にじゅうじしたのかという履歴が記録されていくという仕組みになっています。
経験・能力に応じた賃金支払いの実現に向けて
国土交通省は、技能者の経験や能力に応じた賃金支払いを実現するために、先行的に年収目標を設定し、公表した7職種において令和2年度内をめどに標準見積書を改定することを6月12日に発表しました。
これは昨年35職種で整備された建設キャリアアップシステムと連携した能力評価基準と職種ごとの年収目標を結び付けるものです。
7職種というのは次の職種です。
- 型枠技能者
- 機械土工技能者
- 内装仕上技能者
- 建築大工技能者
- トンネル技能者
- 圧接技能者
- 基礎ぐい技能者
これら7業種に関して、令和2年度末までに、標準見積書を改定することになっています。
また、既存の35業種で定められている能力評価基準では図ることができない職種や多能工に対する評価手法についても検討を進めるということです。
これらについても令和2年度末までに施策を取りまとめ、能力評価ガイドラインに反映させ、令和3年度からは全ての技能者において能力評価を行える環境を実現するとされています。
仕事に対する正当な評価と正当な報酬がモチベーションにつながり、そのことが、若者を建設業に呼び戻すことにつながることを願ってやみません。